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エガオヲミセテ



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福島旅行2018春

もう先月末のことになりますが、二泊三日で今年最初の福島に行ってきました。
今回は単に旅行だったのですが、一昨年まで行っていた毎年夏祭りに合わせて飯舘村の方々を長野に招待して交流する活動の旧実行委員メンバー4人での訪問で、これまでも定期的に行っているものでした。
都合が合えば交流があった飯舘村の皆さんと食事でも、と思っていたのですが連休ということもあり皆さん予定があるようでしたので、今回は福島に行くたびにお世話になる飯舘村村議の八郎さんのみお会いしてお話を伺う予定でした。
初日の宿泊は昨年秋に福島に行った時にも利用した南相馬市、小高駅前の双葉屋旅館を予約していたため、常磐道経由で向かいました。
常磐道は福島第一原発に近いところを通るため、線量がかなり高い場所があります。
そのため、その辺に差しかかると線量を表示した看板が定期的に設置してあり、注意を促しています。
今回、時間に余裕もあったこともあり目的地の南相馬ICの結構手前、広野ICで高速を下りて僕としては初めて国道6号線で原発のある双葉町大熊町を通過してみました。
国道6号線は本来立ち入り禁止区域である帰還困難区域を通りますが、主要幹線道路ということで歩行者や二輪車は通行禁止という特別ルールで通行可能となっています。
帰還困難区域内で6号線から横道に入るには許可証が必要で、ない人は6号をただ通り過ぎることしか現在はできなくなっています。

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楢葉町には福島第二原発があります。

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利用されなくなった店舗や建物が鹿島、前田建設など大手ゼネコンの現場仮事務所になっているというケースを結構見ました。

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線量計の スイッチを入れると大熊町の手前くらいから2μSv/hを超え、第一原発付近では車内でも4μSv/hを超えました。

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福島第一原発のものとみられるクレーンや煙突のようなものが見えました。ここまで近くに来たのは初めてでした。

6号線はいろいろな作業に当たる人たちの車両がひっきりなしに通り、交通量はかなりありました。

双葉屋旅館がある南相馬市小高区にちょっと早めについたので、チェックイン前に小高駅前を散策しました。
駅からすぐのところでこの4月にオープンしたばかりの「フルハウス」は、震災後に小高に移住した作家の柳美里さんが開いた本屋さんです。
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柳さんの親交のある作家さん24人が選んだそれぞれの20冊に加えて、柳さん自身の著作とお勧めの本、あわせて5000冊が並ぶ小さな本屋で、平積みされた柳さんの著作にはそのすべてに直筆のサインと入魂のメッセージが添えられています。
この日は柳さんの姿はありませんでしたが、自ら店頭に立つこともあるそうです。

前回来た時に南相馬市の海辺の畑で菜種の種まきイベントがあったのですが、この日も旅館にその時のスタッフの方々が宿泊されていたので女将さんに聞いてみると、どうやら菜の花が満開になっていてその花見イベントが翌日にあるということでした。
今回の行程で菜の花畑を見に行く予定はなかったのですが、せっかくなので翌朝見に行くことにしました。

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一面の満開。イベントは時間が早くてまだ始まっていなかったのですが、思いがけず見ることができてよかったです。

約束の時間があったのでゆっくりもしていられず、今度は飯舘村へ向かいます。
飯舘村村内に入り、待ち合わせ場所の村役場の近くで中学生らしき子どもたちがジョギングをしていました。
僕が飯舘村へ行くようになってから村内で子どもに会ったのは初めてだと思います。
一瞬ドキッとしましたがすぐに、そうか避難指示解除になったんだった、と思い出しました。
その日は土曜日だったので部活動かもしれません。数は少ないとは聞いていましたが、村に帰った子どもたちが実際にいるんだということに村に入ってすぐに気づかされることになりました。
飯舘村役場で八郎さんと待ち合わせ。村のその後についてお話を伺います。
帰還困難区域の長泥地区を除いて、飯舘村の避難指示が解除されたのは2017年の3月31日。これまでに村に戻ったのは約500人だそうですがその半数くらいは夜は飯舘村外の家に戻っている、とのことです。
そして100人ほどの子どもが村内の学校に通っているそうですが、実際にはそのほどんどが村外に居住し、毎朝村が用意した送迎バスなどで通っていて、その費用は年間2億円にものぼると言います。
役場のすぐ前にあるもともと中学校だったところを改装して、小中一貫校として利用しているのですが、そのすぐ横に新しいこども園が完成していました。
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学校入り口でも何か大きなものを建設中でした。(何かはわかりませんでしたが室内プールのように見えました)
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運動場も整備中。横のテニスコートでは親子でテニスの練習中でした。
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周辺は除染を念入りにやったそうで、線量は概ね0.2μSv/h前後だったのですが、ちょっと脇の植え込みあたりを測ってみると1.4という数値が出ました。学校のすぐ前です。
P4281870.jpg
こんな場所ですらこんな状況なのか、と心配になります。

そして前回来たときはまだ建設中だった道の駅に向かいました。
これがまた木をふんだんに使った立派な建物で、それなりにお金もかかってそうです。
P4281873.jpg
連休に入ったこともあってか、お客さんもそこそこいたような気がしました。

裏側を見るとなにやら建設が始まりそう。
P4281875.jpg

八郎さんに聞くと公園ができるということです。
昨年には立派な公民館もできており、さすがにちょっと作りすぎだろうと今後の維持費を考えると不安になりました。
村はさらに村立の高校を作ろうと模索していたようで、その財源のほどんどが寄付などをあてにしているようで、かなり危うい計画だと感じました。
しかしその後のニュースで議会の理解が得られないとして、村は計画を断念した、と報じられました。議員である八郎さんらの頑張りがあったのだろうと思います。

その後、飯舘を抜けて隣の川俣町へ。ここには昨年まで僕が八郎さんの協力を得て、僕の地元の小学校の支援学級との橋渡し役をしていた飯舘村の仮設小学校がありました。
3年にわたって3回訪れた仮設校舎でしたが2017年3月の避難指示解除後、一年間の猶予期間を経て今年3月に閉校となっているはずでした。
閉校に伴ってこの取り組み終了となってしまっていたため、今回は個人的な見学でしたが役目を終えた仮設校舎には、当たり前ですが子どもたちの姿はなく、すでに解体工事が始まっていました。
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ちょうど昼休み時間だったのでちょっと中を見学。

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訪れるたびに子どもたちと面会をした校長室もこのような状況。

見ているうちになんだかこみ上げてくるものがありました。
使用されたのが6年間ということは、最初の年に1年生だった子は小学校生活のすべてをここで送ったことになります。
そしてその母校は今、早くも姿を消そうとしているのです。
本当に大人の都合に振り回されたな、と申し訳なく思います。
でもこ帰村、新校舎の開校ですべての問題が解決したわけでは決してありません。
子どもが帰ってこないことには未来はないので、村は教育に関することには特に力を入れて整備を進めているように感じます。
とはいえ現状に即していないあまりに過剰な施設や設備への投資は、結果的に未来に負の遺産を残してしまうことにもなりかねません。
双葉屋旅館の女将さんが「除染は失敗だった。もちろん生活圏などやらなくてはいけないところもあるが、そうでないところはやらずに自然に任せるべきだった」と言っていたのが印象に残りました。
そう、放射能汚染は完璧に除去できないということがこれまでで十分にわかったはずです。
その上で、つまり汚染は残るという前提の上で今後、地域は諸問題に取り組んでいかなければならず、そしてそれは日本でこれまでに前例のないことでもあります。
だからと言って、お金や物で釣るようなやり方や、行き過ぎた安全アピールによる帰還促進は短期的には効果があるかもしれませんが、長い目で見ると決して良い結果にはつながらないでしょう。
何より、未来の象徴ともいえる子どもたちの安全が最優先にならなければいけないということは言うまでもありません。
この問題、今後も注目していきたいと思っています。

二日目の宿泊は二本松、岳温泉。普通にのんびり楽しみました。
震災後、本当にいろんな縁がある福島。
これからも定期的に足を運ぼうと思っています。



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  1. 放射能
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猟日記2017-2018⑥山中泊猟3

この猟期、5頭の目標は達成したものの、それとは別に実行したいと思っていたことがこの山での泊まり込みの猟でした。
1回目、2回目の様子はすでに書きましたが、まだやり残していることがありました。
それは厳冬期に二泊すること。そして山でその時に獲った獲物を山で食べる、ということでした。
1日増えるだけですが一泊と二泊とではだいぶ違います。食べ物をはじめ、装備の面で気を付けなくてはいけないことがかなり増えるからです。
体力的にもそれなりに消耗するでしょうし、天候の変化も心配です。
そして何より、当たり前ですが厳冬期の山中は激寒です。ちょっとの判断ミスで命を落とすことも十分にあり得ます。
なので一応これまで2回の山中泊の猟を練習的な位置付けで段階的にやってきたわけで、実際その経験がなければちょっと厳しかっただろう場面もいくつもありました。

まず装備の面で、前回は夜寒かったため新たにシュラフカバーを用意しました。
シュラフの上から被せるものですが、大事なシュラフ濡らさないように透湿防水性の素材のものにしました。これだけで温かさがかなり違ってくると思います。
それからベンジンを使うハクキンカイロをやめて、使い捨ての貼るカイロをいくつか持って行きました。理由は歩いている日中より寝ている夜間のほうがカイロの必要性を感じ、かつポケットに入れて使うハクキンカイロより背中やおなかに複数貼れるほうが体が温まるし応用も効くと思ったからでした。

本当は一月末に行きたいと思っていましたが、仕事の都合で二月の猟期最終盤に決行することにしました。
この時は大型の寒波が襲来しており、山はいつ見ても雪雲がかかっている感じ。
なので当初予定していた西山をやめ、比較的気候が安定していて通い慣れている東山に行くことにしました。
雪の影響で一日延期したものの出発、気温は低くポケットに入れたペットボトルのアクエリアスが一時間ほど歩いたところでシャリシャリに凍り始めるほどでした。
この場所は毎回たくさんの鹿と遭遇する場所ですが、雪の量と寒さがこれまでとだいぶ違います。
こうした現場の状況の変化で鹿の行動パターンもガラッと変わります。
日差しもなく、冷たい風も吹いているのでおそらく風を防げるようなところで休んでいる個体が多いのだろうと考え、そういう場所に注意しながら歩いていました。

P2131634.jpg
地表が雪に覆われると鹿も食べ物に困ります。これは雪を掘って下から出てきた笹を食べた痕です。

予想は当たらず、ほとんど鹿に出会うこともなくテント場予定地へ到着。
標高は1600mを超えているので想像通り雪は多く、場所によっては膝までズボット埋まります。
そこで今回の新兵器。小型の雪かきスコップです。ホームセンターの安物ですが超軽量。
でも持ってきて正解。超役に立ちました。
P2131628.jpg

P2131632.jpg


設営がすんだら薪集め。雪に地面が覆われていても立ち枯れの木は必ずあります。
折り畳み式の鋸も必需品。
P2131633.jpg


この日も日没まで頑張りましたが鹿との出会いは一度のみ、発砲チャンスはありませんでした。

雪の上でも焚火はできます。焚き付けは市販のものを持っていましたが、この時は良い白樺があったので皮を剥いで使いました。白樺の樹皮は油を含んでいるので最高の焚き付けになります。
着火用に何を使うかですが僕はライターメインで一応マッチも持って行っていました。
ライターは普通の100円ライターだと中身が液化ブタンで低温時に使えないので沸点が-10度以下のイソブタンが入っているというビッグライターを使っていました。
J25_l[1]

が、最近のライターは子どものいたずら防止用に着火するのに力がいるような機構になっていて、これが極寒時に風などでちょっと着きが悪いと手が痛くてつらいということにこの時気付きました。
次回からはライターも持って行くけどマッチをメインにして、最近はやりのファイヤースターターも用意しておこうかな、と考え中です。

そしてこれまで同様、米を3合いっぺんに焚きます。
おかずは獲れなかったので定番ラーメンライス。
前回来たときは流れがあった小さな沢が完全に雪に埋まってしまっていたので水は雪を溶かして作ります。小さなゴミ混じりますがそこは気にしない。
夕食後は翌日の昼食用の握りメシを作りっておきます。
握りメシはそのまま置いておくと凍ってしまうので胸ポケットに入れて一緒にシュラフに入りました。
雪の上にマットを敷いて寝ているため背中が冷たくなってくるので、なるべく横を向いて接地面積を減らし、腹と背中にカイロを貼って寝ました。前回から使っている小型の湯たんぽもいい感じです。
夜中に鹿が近くででかい声で鳴いてびっくりして起きましたが、いろいろ対策したおかげでそれほど寒さを感じることもなく、朝まで何とか眠れました。

朝、飯盒の中の凍った米を溶かそうとコンロにかけましたがここで不測の事態が。
前回は使えたプロパン配合の強化ガスの火力が全然上がってこないのです。
どこかで聞いた、先にプロパンが燃えてしまってブタンが残ってしまう現象がこれなんだと思いました。
それもそのはず温度計を見ると-15度くらいになってそうです。
P2141639.jpg

調べたらイソブタンを注入したボンベもあるようなので次回はこれを試してみようと今は考えています。
とにかくこれではいつまでも朝飯が食べられないのでコンロをあきらめて朝から焚火をし
ます。
ちょっと時間がかかってしまいましたがやっと朝食を終えて出猟となりました。

コースは一日歩いてまたテントまで戻る、という初めてのケースだったので、今まで通ったことがないルートを予定していました。
日中は前日と比べて穏やかに晴れ、風もないので温かさも感じます。
P2141642.jpg

最初のうちは尾根を歩くルートでしたが、いろいろうまくいかなかったので途中から中腹を横移動するルートへ変更、その後、超至近距離で5頭の群れにバッタリ遭遇するという大チャンスがあったのですが、とっさのことで挙銃が間に合わず、逃げられてしまいました。
さらに昼食の握りメシを食べていた場所で新しいイノシシのはっきりした足跡を発見。猪の足跡を追ったことは何度かあったのですが、追い付けたことは一度もなく、毎回途中で見失ってしまっていたのですが、鹿との出会いも少ないことだしそれを追ってみることにしました。
しかし1時間ほどでやはり足跡が不鮮明になり、地形的にも追うのがきつくなってきたので追跡を断念。それから再び尾根に上り、時間的に日当たりの良い西側斜面を警戒しながらやや東側寄りを歩いていると、思惑とは逆の日陰の東側斜面で一頭の雌鹿が突然視界に入りました。
相手も僕の存在に気づいたようでこちらをじっと見つめています。距離は50mないくらい。
とっさにしゃがみ込み、目の前の小尾根の陰に隠れて相手の視界からいったん消えたところで改めてしっかりと銃を構えてから再び立ち上がります。
鹿はまだ僕がなんだか理解できず、こちらを見ていますが僕はスコープのレティクルにしっかりと鹿を入れていました。
鹿を発見してから狙いを定めて引き金を引くまで、5秒なかったと思います。
鹿が飛び跳ねるような動きをして走り出しましたが、すぐに崩れ落ちるのが見えました。
当たった!すぐに降りて確認、雌の成獣でした。
P2141646.jpg

鹿の位置から僕のいた方向を見てみると逆光でちょっと見づらく、それも幸いしたな、と感じました。
とにかくついに晩のおかずを獲ることができました。
解体し、ザックに詰め込みテントへの帰路へと着きました。
テントまでは2時間くらいの場所でしょうか。時刻は午後3時を回っていました。
雪が深くてなかなか早くは歩けませんが、日没までには帰りたいところです。
途中、再び鹿を発見。こちらにはまったく気づいていない様子です。
P2141650.jpg
写真中央に鹿。わかりますか?

でも時間的にも厳しかったので撃たず、気にせずそのまま歩き続けるとやっとこちらに気付いて逃げ出しました。
その数10頭以上。結構大きな群れでした。

何とか日暮れ前にテントへ到着し、夕食の準備です。いつものラーメンライスと、ついにおかずが加わります。
夕食用に持って帰ってきた鹿の心臓に木の棒をぶっ差し、豪快にそのまま直火であぶります。
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焼けてきた表面からナイフで削ぎ、塩コショウを振っていただきました。
もともと心臓(ハツ)は歯ごたえがあっておいしい部位ですが、思わず「うまい!」と声が出るほど感動的にうまい。あっという間に全部たいらげてしまいました。
また一つ夢がかない、大満足で二日目の夜の床に就いたのでした。

三日目の朝、パラパラとテントに何かが降る音で目が覚めました。
昨日までの寒波が急に緩み、なんと雨が降っているようです。
雨の中身支度をするのは嫌だったのでテント内でのんびりすることにしました。
すでに一頭獲れているので気持ちにも余裕があります。
しばらくすると雨も止んだのでパッキングし、下山を開始しました。
帰りながらも猟は継続する予定でしたが、緩んだ雪で足元が滑るのに加えて荷物が重くて急斜面を安全に降りてくるだけで精一杯で、鹿との出会いはありましたがとても猟にはなりませんでした。
でもおかげで余裕をもって昼くらいには車へ無事到着することができました。
たった二泊三日ですが、すごい久しぶりに帰ってきた気分で心底ホッとしました。
車でちょっと下ったところで一頭の猟犬を連れて歩いてきた地元の老猟師と出会い、しばし談笑。
ボルト式の年季の入った渋いライフルについつい目が行きましたが、ちょっと前まではパートナーがいたが、年で引退してしまったので今は一人でやっているとのこと。
雪に残る僕の車の轍が2、3日前のものだったので今下ってきたことを不思議がっていましたが説明すると納得。しかし、さすが猟師です。
こうして地元の猟師とコミュニケーションをとることも大事なことです。

これが猟期最終日。今期はやりたいこともほぼ達成でき、猟果も目標の5頭を超える7頭の鹿を獲ることができました。(罠で鹿2頭、猪1頭を別に獲りました)
実は猟期が終わってしばらくはちょっと燃え尽き気味だったのですが、最近はちゃんと身を入れて仕事もしています。(笑)
以上、長々書きましたが今猟期の記録でした。


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猟日記2017-2018⑤単独忍び猟2

もうすっかり春になってしまいましたが、猟期の記録を続けます。
単独猟の時に印象に残ったことをいくつか。

今期の3頭目となった雄鹿は山を登りはじめてからわずか1時間ほどで獲ることができました。
この日、これまでの反省からとにかく音を立てないことを最優先に、ゆっくりゆっくり忍び足で登ってみることにしてみました。
鹿は自分よりも斜面の上からくる相手よりも下方からくる相手に対しての方が気付くのが早いと言われています。
経験上も登りながら上の鹿を先に見つけて撃ち獲る、ということは下りながらよりも難しいと感じていました。
それまでは自分よりずっと上の鹿に先に気づかれ逃げられることが多く、苦戦していたのですが、この日は相当気を付けてゆっくり登っていったせいもあり、最初に出会った鹿の群れはほぼ等高線上、真横の位置。惜しくも発砲するところまでは至らずに逃げられましたが、初めて忍びでその射程に入るところまで近づくことができた、と感じました。
そしてその数十分後、登っていた尾根のすぐ上のほうからガサガサッという音が聞こえると同時に今度は大きな雄鹿が飛び出してきました。
鹿は横方向へ逃げかけて一度立ち止まります。
距離40m。すぐさま挙銃、スコープを覗きます。
鹿の体は立ち木にほとんど隠れていましたが、首から頭にかけてははっきりと見えており、射線上に何も遮るものはありません。
少しでも鹿の体が見えるように、自分の体を左に傾けて首の根元を狙って引き金を引きました。
体勢が悪かったせいもあり、銃の反動でバランスを崩して乗っていた石から落ちてしまいましたが、鹿が崩れ落ちるのが見えました。良い所に当たったようです。
しかしその場所は凍り付いた急斜面。ザーッという鹿の滑落音がいつまでも止みません。
でもどこら辺で止まったかをおおよそでも見極めるために、まったく見えない獲物の行く末に耳を澄ませていました。
相当下ですがようやく音が止まったようでした。さて下りねば、と向かいますがこれがかなりの急斜面。
どこを滑って行ったかも最初はわからなかったのですが、しばらく探しているとあたりに雄鹿特有の臭いを感じました。
雌に比べて雄は家畜のような体臭が強く、ちょっと前までいた場所には残り香があることがあります。
付近をよく見ると雪の残る斜面にわずかに残った血痕を見つけました。
ここを滑り落ちたんだ。確かによく見ると凍った雪面に滑ったあとが残っています。
慎重にあとをたどって降りていくと狙撃ポイントから100mくらい下ったところで絶命している雄鹿を発見しました。
P1161549.jpg
その場で解体、昼前には車まで戻ることができました。

4頭目の雌鹿をとったのはその4日後でした。
この時は前回とは同じエリアですが、3つ4つ隣の尾根を回るルートを選択しました。
登り始めて2時間くらいだったでしょうか。斜面右下方向に何やら気配が。
目をやると相手は全身真っ黒。間違えようがありません。熊です。

P1201559.jpg
熊がいた方向。1月ですがこのように雪は無し。冬眠していない熊も多そうで、足跡も結構あちこちで見ました。

距離は約40m。遮るものは何もなく、最高の条件に内心「もらった」と思いました。
熊はこちらに気づいておらず、地面を物色しながら何か食べるものでもないか、と探しながらゆっくりと歩いています。
ついに熊を仕留める時が来た、と銃を構え、弾を薬室へ送ります。
が、M870のフォアエンド(左手でスライドさせて弾を装填させる部分)が最後まで戻りません。
最後、カチッと音がするまで戻らないと構造上引き金は引けません。
クソ!逃げられる!と気ばかりが焦ります。
音に気を付けながらガチャガチャとやっていていたら何とか戻り、再び熊のほうを向きますが姿はなし。すっかりいなくなってしまいました。
残念でしたが熊と至近距離で銃トラブルは実は非常にヤバイ、ということに気づきました。
この時も腰の剣鉈に思わず手が行きました。
銃はおそらく手入れ不足の油切れ。勢いよくガチャッと戻せば弾が装填されるということがわかりました。
その後ちょっと山を登ったところで反対側の斜面に再び熊を発見。今度こそはと撃ちましたが外れて逃げられました。ちょっと距離が遠すぎました。
おそらく同じ熊、しかも僕が登っている尾根を僕のちょっと上で超えて反対側に渡ったということになり、ニアミスにちょっとしたヒヤリハットでした。

この後の午後、折り返した下りの最中、出会い頭に雌鹿を捕獲。4頭目となりました。
P1201565.jpg


その次の捕獲は1週間後、その間にも単独、グループと出猟しており、この近辺はかなり頻繁に猟に出ていたような気がします。
冷え込みが厳しくなってきて雪も積もっていたこの日は、鹿も日当たりが良く休みやすい所に群れで集まっているような傾向がありました。
割と大きな雌の群れをまず発見し、慎重に慎重に時間をかけて接近を試みて、満を持して発砲するも失中。ザーッと群れで逃げて行ってしまいました。
でもそのあと、時間を置かずに今度は雄の群れが。この時は出会い頭で向こうもこちらに気づいていたため、すかさず撃ちましたが今度は手前の灌木に弾が当たってしまい外れ。
この時は何が起こったかわからないかのように鹿がしばらく右往左往していたため、続けて撃ちましたがなぜか一発も当たらず結局逃げられてしまいました。

これまで獲った4頭はすべて一発目で仕留めていたのですがこの日は全部で5発撃っても一頭も獲れず、すっかり自信喪失でした。
持って行った弾も7発だけだったので残弾は2発だけ。半ばあきらめモードになっていましたが、午後チャンスが再々度訪れます。
日向で休む雄鹿。相手はこちらに気づいていません。しかし距離が若干遠い。100mを超えてそうです。(あとで測ったら113mでした)
急傾斜の撃ち下ろし。依託できる立ち木はちょうど良い場所になく、膝撃ちの構えで狙いますが射線上に邪魔な灌木があり、なかなか撃てません。多分灌木にちょっとかすっただけでも弾は逸れてしまうでしょう。
弾はわずか、このチャンスを無駄にしたくありません。
じっと狙い続けて「その時」を待っていると横からヒョイッと別の雄鹿が頭を出しました。
やはり群れでいたか。そちらの鹿は前に遮るものがありません。
狙いをとっさに変え、バイタルを狙って発砲。
最初に狙っていた鹿が飛び起きて逃げ出したのが見えましたが、撃った鹿がどうなったかはよく見えませんでした。
雪の残る急斜面を慎重に下って確認に向かいます。
雪面にわずかな血痕を発見。弾当たったようですが、姿はありません。
血痕をたどり下っていくと50mくらい下で絶命している雄鹿を発見。確認すると弾はおおむね狙ったところに入っていました。
P1271583.jpg

すると直後、今度はすぐ下で「ピー!」と鹿の鳴き声がします。
仕留めた雄鹿の群れとは別の個体がいたようです。
姿を確認。下方80m角は無し。雌のようです。
反射的に銃を構え、発砲。鹿は横方向へ走ります。
この時も即倒ではなかったので当たった確証がなかったのですが確認に降りると大量の血痕。
P1271586.jpg

これは近くで止まるな、と追うとやはりいました。30mほど横に移動したあと力尽き倒れ、滑り落ちたようでした。
P1271585.jpg

やはり雌でした。実は長野県の銃猟では理由はよくわかりませんが、雄は一日一頭という規制があります。
今期5,6頭目は単独銃猟でははじめての一日2頭となりました。

P1271587.jpg
急斜面で解体をするとき、僕はこのように立ち木にロープでくくっておきます。獲物をひっくり返してもこれなら滑ってきません。

激重の2頭分の肉を背負い、ふらふらで下っている最中にも何度も鹿に出会い、この日はこれまででもっとも鹿と遭遇した日となりました。
しかし獲ってももう持てず、何より弾はすべて撃ち切ってしまっていました。
ただ前回の熊の件もありましたし、山で銃が撃てないというのは不安なものです。
ちょっと反省し、次回からは多めに弾を持って行き、全部撃ち切らないように帰るまで必ず一発は残しておこうと思いました。

今期、単独銃猟での目標は鹿5頭だったのでここで達成となったのでした。


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猟日記2017-2018④グループ猟

今期は昨年より単独猟に力を入れましたが、なるべくグループ猟にも参加するようにしていました。
以前に書いた誤射のときのこともグループ猟での一コマですが、今期は昨年よりもちょっと成績が悪く、僕が参加しているときには本命の猪の捕獲は結局ありませんでした。
一度だけ僕の張っているところへ良型の猪が走ってきたことがあったのですが、ちょっと油断していて慌てて撃ったのですが外してしまったことがありましたが、僕にとってのチャンスらしいチャンスはそれだけでした。
なにせ少人数でやることが多いため、猟犬が猪に絡んでも人間が追いつけない、ということが結構あって犬を放すタイミングや人間の配置など来期に向けていろいろ課題も見えてきたと思います。
そんな中、今年のグループ猟で忘れられない出来事があったので記しておこうと思います。

僕の所属するグループは主要メンバーが6人で、うち3人が猟犬を飼っています。
その猟犬のうち一頭が猟中の滑落事故で命を落としてしまったのです。
その日、僕は猟に参加していませんしたが、年末年始の休み期間中だったため、翌日に参加するつもりで猟隊のリーダーに電話をしたところ事故のことを聞かされました。
事故に遭ったのはKさんの犬、ゴン。
獲物を追っている最中にツルツルに凍った斜面で足を滑らせ、滑落したということでした。

ゴンとの付き合いが浅い僕ですが、このグループに参加して初めて猪を獲ったときに大活躍したのがゴンでした。
PC240208.jpg
その時の獲物。85kgくらいの雄猪でした。

この時、ゴンは大きなオス猪の牙で胸をざっくりと切られながらもひるまずに立ち向かい、猟犬の勇敢さと能力の高さに感嘆したものでした。
PC240207.jpg
この猪の下顎の牙。猪は上下の牙を擦り合わせて牙を研ぎ、下の牙は非常に鋭利になっています。
これで切られて負傷する猟犬はとても多く、命を落とすこともあります。

こんなエピソードもベテランの猟犬だったゴンにとっては数ある武勇伝の中のほんの一コマなのかもしれません。
でも初めて猟犬の仕事を目の当たりにした僕にとっては衝撃的で忘れられない日となりました。

電話で聞いた事故時の状況は以下の通り。
ゴンはほかの犬2頭と一緒に獲物を追っていた。
3頭の犬がそれぞれ何を追っていたのかははっきりわからないが、追われていた獲物は猪と鹿。
問題の斜面をまず追われていた猪が落ちたと思われる。
その後、鹿、ゴンの順番で滑落した。
他の2頭の犬はツルツルだった場所の少しだけ上のルートを通った足跡が残されており、おかげで無事だった。
最初に落ちたと思われる猪まではたどり着くことができた。
猪も滑落により死んでいたが、直後でまだ温かく一応血抜き、ハラ出しをしておいたが状況からその日の回収を諦め、その場に置いてきた。

猟犬はGPSの首輪をしているので、一か所から動かないなどの異変があればわかります。
この時も異変に気付いたKさんが接近を試みたものの、途中で滑落、足を痛めてしまいゴンのところまでは到達できなかったそうです。
これらの情報から現場には歩いてアプローチすることが厳しいと感じました。
僕は仕事柄、ロープを使用した樹上伐採をすることからロープアクセスの道具一式を持っています。
そこで翌日、道具を用意してゴンと猪の回収に行くことにしました。
現場は車から片道30分、道なき道を登って行きます。
やっと猪地点まで到着したころには結構汗だくになります。
3人で登ったので一人は猪の解体をし、僕ともう一人でさらに登ってゴンの場所を目指しました。
ガチガチに凍った氷の斜面が行く手を阻みますが、これを登ったその先にゴンがいると思われました。
氷の斜面の両側は切り立っていて迂回はできそうにありません。
これを超えるか大きく回り込んで上から降りるかの選択になりますが、幸い氷斜面はそれほど大きくなく、軽アイゼンを履けば何とか歩いて越えられそうでした。
そこで荷物を置いて身軽になり、ロープだけをもって登って行きました。
登ったそこはやや斜面が緩やかで、思った通りゴンと追われていたと思われる雌鹿が寄り添うように横たわっていました。
同じところで滑落し、同じようなルートを滑ってきたのだと思いました。

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3頭が滑落した氷の斜面。

鹿は後ろ足が折れており、ゴンは口から出血があったもののほかに目立った外傷は見当たりませんでした。
思わずゴンの背中を撫でて、「お疲れ様」とねぎらいの言葉をかけました。
僕はゴンを肩に担いできた道を戻り、氷の斜面だけはロープを使って滑らせ降ろしました。
そして下で待っていた仲間にゴンを預けて僕は使わなかったロープなどの道具を担いで二人で一回車まで下りました。
そして今度は猪を運ぶためにもう一度登ります。
解体をしていたもう一人と三人で肉を担いで再び下山。その間遅れて駆け付けたゴンの主人のKさんご夫婦がゴンと悲しみの再会となりました。
Kさんは負傷した足を引きずっていましたが、その後聞いたところによるとアキレス腱断裂の重傷だったそうです。
一緒にゴンを降ろした仲間と後日、降ろしたのがKさんじゃなくて良かったなーと話しました。
半分冗談でしたが、Kさんに限らず猟隊の誰もがそのリスクを背負っている、ということをあらためて思った今回の出来事でした。

滑落は冬期に山で行う猟においてもっとも気をつけなくてはならない事だと思います。
ちょっと足を滑らせただけで命を落とすような斜面が猟場にはいくらでもあるからです。
特に犬が獲物に絡んでいると急いでそこへ向かおうと足元の確認もおろそかになりがちです。
できるだけ慌てずに冷静に状況判断をするよう心掛けなければいけないな、と思いました。

ゴンは紀州の系統で、代々猪犬の血統だそうです。
四国の猟師に脈々と受け継がれてきた生まれながらにして猟犬であり、本能のままに山で猪を追いかけ続けたその生涯はきっと充実したものだったのだろうと思いました。

4月7日追記
今日有害の射撃講習がありました。その中で今猟期に所属する広域猟友会管内で滑落死亡事故が起きていたとの報告がありました。
状況はグループ猟(有害鳥獣駆除)で勢子の一人が滑落、死亡したとのことでした。
その場所はそれほどの難所ではなく、良く通るところだったらしいのですが、少し崩落している箇所があり、そこで足を踏み外したということです。
身近なところで起きた事故の話はとてもリアリティーのあるものでした。


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猟日記2017-2018③ 山中泊猟2

前回の晩秋の練習を経て、いよいよ冬真っ盛り、12月末に今期2回目となる泊りでの猟に行ってきました。
今回は結果も出したかったので、猟場は通い慣れた東山を選択しました。
前回の反省として、まず背負子をザックに変更しました。
PC271464.jpg

今回も一泊の予定だったのですが、それでも食料や防寒着などを詰め込むとそれなりにいっぱいになってしまいます。
獲物が獲れて持ち帰るときには食料は減るし、着るものは身に付けてしまえばザックのスペースは何とか開けることができるかな、と思っていました。
学生時代に使ってた、それこそ20年以上前の物、札幌、秀岳荘オリジナルザック、多分60Lだったような。
この大きなザックとは別に、ベースキャンプに不要な荷物を置いて猟をするときに背負う小さいザックを持って行きました。
今回テントを張る予定の場所は標高1600mくらいになるので、寒さ対策も前回より気を付けました。
その秘密兵器かこれ。
PC271481.jpg
小型の湯たんぽです。
水を抜いて行けば気にならない重さです。
防寒具も前回より多めに持って行きました。

今回のルートは行きの行程からいつ鹿が飛び出してもいいような生息数の多い場所です。
重い荷物を背負っていましたが、いつもの忍び猟と同じように周囲に注意を払いながら、ゆっくりゆっくりと登って行きました。
雪はこの時もまだ少なかったのですが、歩いていたルートは尾根という地形もあって11月にはまだ地表を覆いつくすほどあった落ち葉も風でだいぶ飛ばされて、地面が露出しているところも増えてきたような気がしました。

車を止めた標高1000mくらいの地点から、3時間以上かけて標高で500mくらい上がってきました。
それまで大したチャンスもなかったのでちょっと気が緩んでいたのですが、景色の中に何か違和感を感じました。
その方向を目を凝らして見てみます。
50mくらい先の木と木の間、盛り上がった地面の上に動物の顔のようなシルエットが見えます。
黒っぽいそれは肉眼では一瞬クマ?と見えなくもなかったのですが、とにかくそのころ僕はそれらしいものは全部獲物に見えてしまう症状が出ていたので、まさかね~と半信半疑で一応双眼鏡で確認。
しかし拡大されてくっきりと見えたそれはなんと、ボーっとこちらを見つめる猪の顔でした。
単独猟で猪に遭遇したのはこれが3度目。とにかく滅多に出会うことがなく、仕留めたこともなかったのですが、反射的に銃を構え、スコープを覗きます。
ザックが重いのと、そこから体を右にグイっとひねった姿勢がやや不安定で銃が揺れ、狙いがすぐには定まりません。
猪もすぐには状況が理解できなかったような感じで、しばらくこちらを凝視していましたが、数秒後、すくっと立ち上がりました。
そこで初めて全身が見えたので的も大きくなります。
急いでバイタルに狙いを定め、引き金を引きました。
猪は「プギーッ!」と大きな悲鳴を上げて飛び跳ね、反転して斜面下方向へ走り出します。
と同時にすぐ横でもう一頭の猪が飛び起きて走り出すのも見えました。二頭連れでした。
「ああ、ダメだ」
その瞬間、僕は弾が急所に入っていないことを理解していました。
「プギーッ」は「イテーッ」って感じだと思います。
本当は声もなくドサッっと倒れなければなりません。

それでもすぐに確認のためにその場所へ走ります。
地面に結構大きな穴を掘って、風よけにして寝ていたようです。
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血がベットリと立ち木についています。
PC271465.jpg

それなりに出血はしているようです。
重いザックをその場に置き、追跡を開始します。
立ち木の血痕が点々と続いています。
PC271467.jpg

相当慌てて木にドカンドカン当たりながら逃げていったのでしょう。
この出血ならもしかしたら止まるかもしれない。淡い期待を抱きながら追跡していきました。
しかしそれもむなしく、徐々に出血量は少なくなり、追跡するのも難しくなっていってしまいした。
足跡の様子から、慌てて転げるようだった歩様もしっかりしたものになり、置いてきたザックとの距離もどんどん遠くなっていってしまったため、1時間ほどで追跡を諦め戻ることにしました。
弾が当たったのに取り逃がすことを半矢(はんや)といいますが、これは非常に悔しく、また獲物に対しても申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

気を取り直してルートに戻りますが、時間のロスは大きく、その後も大きなチャンスはないままテント場予定地に到着しました。
雪は10㎝くらいと少なかったため、足でどけるだけで十分でした。
テント設営と薪集めを済ませ荷物を置いて、ここからもう一回戦勝負です。
通常の猟なら暗くなる前には車へ帰れるよう、時間にゆとりをもって早めに撤収するのですが、これが泊りでの猟ならではで、銃が撃てる日没タイムギリギリまで続けることができます。
しかも泊まるのは山の上。鹿が寝床に向かって登ってくる夕方は、早朝と並んでチャンスの多い時間帯です。
一つの尾根に狙いを定め、日没までの1時間で待ち伏せ猟をすることにしました。
立木の影に身を潜め、鹿が登ってくるのをじっと待ちます。
まだ夕日が当たっているものの、気温はマイナス6度くらい。歩いているときは気にならないのですが止まっていると寒くてたちまち鼻水が垂れてきます。
鼻水をすする音にすら気を遣いながらひたすら待ち続けること数十分(正確には忘れた)、ついに何かが歩くカサッ、カサッという音が下から聞こえてきたのです。
音の方向を凝視していると間もなく、木々の間から雌鹿が現れました。
鹿の進行方向すぐ先には尾根があり、そこを越えると姿は見えなくなってしまいます。
チャンスは一瞬、狙いを定め、引き金を絞ります。
が、引けない?慌ててもう一度。でも引けない。
銃を確認すると安全装置がかかっています。かけた覚えはないので何かに当たって勝手にかかってしまったのだと思います。
急いで解除して再度スコープを覗くと鹿は尾根を越えてしまっていました。
ですが続いてもう一頭歩いているのが視界に入ります。
今度こそ!と狙って引き金を引きます。
バーン!
弾は出ました。でも、外れてしまいました。
下まで降りて確認しましたが、血痕など痕跡はなし。
距離は60~70mくらいでしょうか。正直当たると思ったのに残念。慌ててしまったか。
結局この日は獲物無し。凍えた体を焚火で温め、定番ラーメンライスの夕食です。
PC271474.jpg

あったまったら早めに寝袋に入ります。ですが当たり前ですが前回の11月よりかなり寒い。
気温はマイナス10度。僕のシュラフにはリミット温度がマイナス10度と書いてありますが、なるほどその通りだな、と実感。
寒さで何度となく起きてしまいます。
朝方、顔に何やら冷たいものが降っている感覚がして、「まさか雪?」とライトで照らすとテント内側が真っ白に。
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結露が凍り、顔に降り注いでいたようです。

寒かったこともあり、夜明け前には起きて動き出します。
朝はガスコンロで前回同様、凍った飯盒のメシを溶かして朝食をとります。
僕のガスコンロはカセットガス式のものですが、普通のガスは中身が気化温度の高いブタンガスなのであまり寒いと使えません。
そこでプロパンガス配合の低温対応のカセットを持って行っていたので、マイナス10度でもこの時はなんとか使うことができました。

じっとしてると寒くてたまらないので朝食後、急いで準備を整え、すぐに出猟します。
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夜明け直後の薄暗い林内。一番冷える時間帯でもあります。

雪はだいぶ前に降ったもので、いったん溶けてから固まったため表面は固く、踏み込むたびにザクッ、ザクッと大きな足音がしてしまい、うまく忍ぶことができません。
最初、尾根を歩いていたのですが何度かチャンスを潰してしまい、途中から日当たりの良い斜面の中腹あたり、雪が無く鹿が頻繁に歩いている鹿道を歩くことにしました。

そして昼前、ついに斜面下方約80mのところにこちらにはまだ気づいていない雄鹿を発見しました。
幸い丁度良い立ち木が目の前にあったので依託して狙います。
横向きの体全身が見える角度だったので、胸のど真ん中を狙って引き金を引きました。
雄鹿は一瞬、ビクッとしてから反転、走って逃げだします。
また外したのか?半矢、失中と続いていたのでちょっと自信喪失気味でしたが、鹿の行き先を目で追うと20mくらい先で崩れ落ち、斜面を滑り落ちていくのが見えました。
やった!はやる気持ちを抑えながら、かなりの急斜面だったため慎重に下っていきました。
たどり着いた時、雄鹿はまだ息がありました。
立ち上がれないものの、僕の存在はしっかりと認識していてこちらに顔を向けて目を見開きながら首を前後に揺らしています。
僕は少ない経験ながら、人間に対峙した時の行動が雄と雌では明らかに違うと感じていました。
雌はひたすら逃げようとしますが、雄は向かってくるような行動をとる個体もいます。
この雄鹿も明らかに僕の方を睨みつけ、その動きは威嚇しているようにも見えました。
早く楽にさせてやらねば、と剣鉈でとどめをさします。
今猟期、これが独で獲った2頭目の鹿でした。
PC281485.jpg

山奥のため、その場で解体します。
残滓は埋設することになっていますが、ガチガチに凍結している地面を掘ることは非常に困難なため、できる限りということになります。
僕はなるべくそのまま放置にならないように、周辺の物を使って埋め、手を合わせて弔うように心がけています。

それからテント場に戻って荷物をパッキング、下山となりました。
雄鹿は大きいので背負う荷物は銃も含めると30kgくらいになります。
特に膝の負担が大きく、体中が悲鳴を上げますがこれが猟です。
文字通り、命の重みを全身で感じながらゆっくりと下りました。
捕獲ポイントからベースキャンプを経由して車までは結構距離があったため、昼前の捕獲でも車に戻ったのは夕方でした。
夢に見た猟法でついに鹿を獲ることができ、何年か越しの夢がついにかなった日となりました。

続く







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